五月のよる

よる子と彩月の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうのことを探すふたりの旅路。

82.blue heart

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静かなる心の声に耳寄せて我生きる道決意密かに

(彩月)

 

連作(三首)

AかB迷わば選べ愛のみち碧く深くに湧き出ずる声

岐路に立ち決意の時はいつだって静かなるものされど湧くもの

いざ進め心の声に耳澄まし冷静にかつ熱き心で

(彩月)

 

停滞していた濁った淀みに
大きな波紋が広がった。
投げ捨てたはずの夢は
燻りながらも確かな形を成し、
静かなる決意の炎が今燃え立つ。
青く深い心の中で。

(よる子)

 

雑記
たまたま二人同時に作品を送り合い、更には内容や言葉が被り、二人して大笑いしました。
(よる子)

 
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81.整列

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とりどりの色みな違う意味を持つ出ず引っ込まず個性を生かせ

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

抱きとめた数えきれない色の粒
今日は真っ直ぐに並べてみよう。
ころころ きらきら転がる前に
息を殺して切り撮るこの刹那。

(よる子)

 
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80.音

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(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

突然溢れ落ちる
色鮮やかな音の粒を
両手で受け止める。

 

一小節弾いて
違う。
一小節弾いて
これじゃない。


最初の休符で鼻から呼吸。
ぽろん
違う
ポロン
違う
ぽろン
そう、この音。

 

音の粒を繋げて重ねて
確かな予感にからだを震わせる。

(よる子)

 
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79.寄り道

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(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

出発はいつも少し早く。
猫のジロウにおはようさん
道端の花を見つけて
膨らんだ蕾ににんまりし
階段を踊るように駆けていく。

 

君に会えば
あっちに行ったりこっちに行ったり。
お茶の約束だったのに、ねぇ私たち何でこんなに歩いているのと弾けるように笑う君。

 

帰り道は少しさみしくて、
猫のジロウは見つからず
見つけた花はすやすや眠り、
蕾は月下に花開く。

僕のお出かけはいつも寄り道小径。
振り返って街におやすみなさい。
階段を踊るように駆けていく。

(よる子)

 
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78.あまいあまい

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人生にちょいと疲れた人たちへ恋し優しき天の甘蜜

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

 

あまいあまい
まあるい味に
かくれたほろ苦キャラメルさがして。
あるきつかれた
まひるの街角。
ほっとひといき
こころは空に。

(よる子)

 
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77.かえろう

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手を握り胸に抱かれ姿なき子どもが愛に溶けゆく夕べ

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

甘え方を知らない小さな君。

 

袖を引っ張る。
髪を引っ張る。
だっこして。
手を繋いで。

 

抱き上げて、
膝にのせて、
手を繋いで。

 

またいつでもおいで。
でも、今日はかえろう。
三人一緒に見た夕焼け。
さみしんぼうの君の瞳が滲む、滲む、滲む。

 

ごめんね。
でも、今日はみんな違う場所にかえろう。

 

輪郭のはっきりしない君のあたたかな手は、
空気に溶けていくように消えて
まるで何もなかったみたいに。
僕ら二人を遺して。

 

(よる子)

 
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76. 文句いっぱいな彼女の物語の続き

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目覚めての不満文句はお日様の優しさの中溶けて明日へと

(彩月)

 

連作(三首)

生きなくていい人なんて誰もいない文句不満も生(せい)あればこそ
ありふれた生でもそこに物語不満文句にささやかな愛
光見よ袖擦れ合えば人生の一部になりぬ祈りよ届け

(彩月)

 

唐突に訪れた死の淵から
やさしく突き返された彼女が再び瞳を開いたとき、
明るすぎる青い澄んだ空に精一杯顔をしかめて文句を言ってくれますように。

 

傍らにいる彼らが怒ったり泣いたり笑ったり。静かにしてよ、といつも通り文句を言ってくれますように。

 

文句ばっかり
不満ばっかり
そんな彼女なのだけれど、
唐突な終わりはなく、これから先も彼女の命の物語が紡がれていきますように。

物語の後半が、彼女らしく文句で綴られていても、
必ず光の中にいられますように。

(よる子)

 
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