83.明日が来る
「明日が来る」希望かはたまた絶望かされど一条光は注ぐ
(彩月)
連作(三首)
「明日が来る」なんと諦め悪い奴来るなと言っても来やがる今日も😤
優しさか残酷なのかわからずもひとまず明日とやら受け入れよう
「明日が来る」なんと優しい事実だろういかなる時も見捨てずに来る
(彩月)
わたくしが得たもの
考える時間
本を読む時間
落ち着いた呼吸
新たな幾つかの病名
出会い
受け入れること
何処かに棄てた夢
わたくしが失ったもの
働く時間
眠る時間
たくさんのお金
筋力
一抹の不安
わたくしが何を得ようと失おうと、
誰にでも不平等な明日はやってきて、
それでもわたくしは
明日がくることに喜びを隠せない。
(よる子)
82.blue heart
静かなる心の声に耳寄せて我生きる道決意密かに
(彩月)
連作(三首)
AかB迷わば選べ愛のみち碧く深くに湧き出ずる声
岐路に立ち決意の時はいつだって静かなるものされど湧くもの
いざ進め心の声に耳澄まし冷静にかつ熱き心で
(彩月)
停滞していた濁った淀みに
大きな波紋が広がった。
投げ捨てたはずの夢は
燻りながらも確かな形を成し、
静かなる決意の炎が今燃え立つ。
青く深い心の中で。
(よる子)
雑記
たまたま二人同時に作品を送り合い、更には内容や言葉が被り、二人して大笑いしました。
(よる子)
81.整列
とりどりの色みな違う意味を持つ出ず引っ込まず個性を生かせ
(彩月)
連作(首)
(彩月)
抱きとめた数えきれない色の粒
今日は真っ直ぐに並べてみよう。
ころころ きらきら転がる前に
息を殺して切り撮るこの刹那。
(よる子)
80.音
(彩月)
連作(首)
(彩月)
突然溢れ落ちる
色鮮やかな音の粒を
両手で受け止める。
一小節弾いて
違う。
一小節弾いて
これじゃない。
最初の休符で鼻から呼吸。
ぽろん
違う
ポロン
違う
ぽろン
そう、この音。
音の粒を繋げて重ねて
確かな予感にからだを震わせる。
(よる子)
79.寄り道
(彩月)
連作(首)
(彩月)
出発はいつも少し早く。
猫のジロウにおはようさん
道端の花を見つけて
膨らんだ蕾ににんまりし
階段を踊るように駆けていく。
君に会えば
あっちに行ったりこっちに行ったり。
お茶の約束だったのに、ねぇ私たち何でこんなに歩いているのと弾けるように笑う君。
帰り道は少しさみしくて、
猫のジロウは見つからず
見つけた花はすやすや眠り、
蕾は月下に花開く。
僕のお出かけはいつも寄り道小径。
振り返って街におやすみなさい。
階段を踊るように駆けていく。
(よる子)
77.かえろう
手を握り胸に抱かれ姿なき子どもが愛に溶けゆく夕べ
(彩月)
連作(首)
(彩月)
甘え方を知らない小さな君。
袖を引っ張る。
髪を引っ張る。
だっこして。
手を繋いで。
抱き上げて、
膝にのせて、
手を繋いで。
またいつでもおいで。
でも、今日はかえろう。
三人一緒に見た夕焼け。
さみしんぼうの君の瞳が滲む、滲む、滲む。
ごめんね。
でも、今日はみんな違う場所にかえろう。
輪郭のはっきりしない君のあたたかな手は、
空気に溶けていくように消えて
まるで何もなかったみたいに。
僕ら二人を遺して。
(よる子)