五月のよる

よる子と彩月の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうのことを探すふたりの旅路。

69.銀曜日

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(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

透き通った硝子の水槽の底の底。
見上げる青天井には無数の銀の星。

 

懐かしいあなたと二人、話をした。
銀曜日までの過ごし方。

 

銀星のあかりを頼りに眼を凝らし
不器用に作業を進める私と
見守るあなたの優しい瞳。
幼子のような煌めきと、清貧さを伴うゆかしさと
浮かぶ銀星を映しこむその瞳。

 

全てはあなたから私に託された
銀曜日までの大仕事。

何が何やら解らぬが、
いつかは解るかもしれぬから。

今年から続ける大仕事。
仰せの通り、銀曜日までに仕上げましょう。

 

銀曜日は毎年満月なのに、銀だなんて不思議ですねと
静寂より深い蒼落で、
あなたはやさしく微笑んだ。

 

あの子と話した銀曜日
やっぱり何のことやら解らない。
されども今日こそが銀曜日
わかることは、誰かに託された想いで何かを作らなければいけないということ。

 

銀曜日の終わり、
透き通った硝子の底の底から見上げた宵闇は、
相も変わらず青く蒼く、
そこに銀曜日のまんまるお月様は確かにのぞいていた。
不自由な私の手を包み込むように、
柔らかな月影は密かなるものを照らす。

 

これは、1年に一度、
不思議な銀曜日の不思議なおはなしです。

(よる子)

 
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67.天上の囁き

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お日さまを纏うた野花は天使たち君を守りて「ひみつ」と笑う

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

 

私の花畑の正体が

野原で道草している天使たちだったとは!

風が吹くと一斉に笑い出す。

私達は思いがけない場所に居るのだ、と。

タネが弾けて秋になったらまた芽吹く。

その時の姿を、あなたは私達だとは思わないでしょう。

いつになったら私達に気づくかしらなんて。

頷き笑うその声は

天上の囁きにも似た縹渺たる音色。

悪戯で無邪気な私の天使たち。

(よる子)

 
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66.夢見桜

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(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

淡い空の色彩に溶けゆく季節の移ろいの中

賑やかに集いし鳥たちに目を細め

儚くも永遠に続くかのような春の夢。

香りまであたたかく

ここは楽園かと錯覚する。

(よる子)

 
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65.束の間の静寂

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(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

一筋の光が花を射る。

辺りは騒がしいというのに、

そこだけは静寂が生き物のように怪しく息を潜めている。

気づいてしまったからには時遅し。

華やかさなどには無縁の孤高の花に魅入る。

目に見える束の間の静寂。

(よる子)

 
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