五月のよる

よる子と彩月の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうのことを探すふたりの旅路。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

10.不器用

まっすぐに「愛している」と言えなくて不器用な靴見つめて「…ありがと」 (彩月) 連作(十二首) 思春期は親も子どもも不器用で傷つけ合いと後悔の日々 不器用な思春期切り抜けられたなら感謝と反省徐々に芽生える 「ねえ私結婚しようと思うんだ」振り向かず聞…

9.大丈夫

苦しみや孤独を抱えているときも「大丈夫」という言葉寄り添う (彩月) 連作(九首) 世の中は大丈夫なようできているどんなに今が底の底でも 人生をまるっとみれば大抵は大丈夫という言葉にできる 大丈夫という上質の絹の魔法に我は包まる おおらかに「大丈夫…

8.涙

美しき人が流したたくさんの涙乾いて天(あめ)の大河と (彩月) 連作(八首) 凛として唇にはそう微笑みを頰すべり落つ涙ありても 懸命に生きている証ひとまえで流せる涙もしのぶ涙も 出会いの日別れの日にはいつだって涙がそっと寄り添っている ぐしゃぐしゃ…

7.小さな

こんなにも小さな花に降りそそぐ光の粒が目覚め生きろと (彩月) 連作(十首) 懸命に我に向かって伸ばし居る「大好き」の意味小さきてのひら 小さな手パタパタとふり全身で喜び爆発させる乳飲み子 あーうーと喜び怒り声色を変えて小さな口で母呼ぶ くしゃくし…

6.わだち

轍あらば何も見えずもそこはかと人の気配す土の粒にも (彩月) 連作(首) 先人がつくりしみちを歩むごと意識せずとも追う轍かな 轍なきましろな道を進みたし土を固めて草踏みしめて 轍追うごとく歩みし幾年月これより先は自ら拓け (彩月) 突然の嵐だった。 青…

5.庭

時があり時が歪みて生まるるが光の庭という物語 (彩月) 連作(七首) 我が母校優しさ希望慈しみ雨のごと降る光の庭よ 青き春過ごした庭はうららかでわれらの傷に沁み入るひかりまっすぐに光受け止めきれぬ吾(あ)を庭は木陰でそっと撫でゆく 目のくらむ清い光…

4.隣に

「寂しいと夕陽を見たくなるよね」というきみのその隣にいたし (彩月) 連作(六首) 隣にて座っていると気づくもの日々のルーティン心の揺れも きみのその哀しみ苦しみどうすれば分かち合えるの隣にいるのに われ描く青写真その隣にはきみがこの先10年のちも …

3.凛と

白き花何にも染まらぬ気高さと十色を包む柔和な笑みと (彩月) 連作(六首) われに問うどう生きたいか生きるのか心に凛と悠を持ちたし 凜とした横顔その目その奥に汝はなにを映しているか 凜ということばはどこか寂しげで水がしたたる山奥のこど 寂しくも背筋…

2.陽だまり

陽光を尾っぽに集めふわふわの布団を干すごと午後のまどろみ (彩月) 連作(四首) 陽だまりに消えゆく庭のみぞれ雪名残り惜しそのハートのラクガキ ぽたぽたとしたたり落ちるあめゆきのひかりまばゆしああ今日は晴れ どこへ行く?買い物?ディズニー?遊園地?…

1.雪

天上でひかりこおりが出逢い結い溶けゆく闇夜刹那の恋路 (彩月) 連作(五首) 大雪に舞い上がり居る我が相棒芸術家ゆえかただの子どもか 大雪が降って「くれた」か「しまった」か吾はどちらで生きていこうか 真っ白の不思議なものを触りたしお家じゃ嫌なのお外…