五月のよる

よる子と彩月の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうのことを探すふたりの旅路。

6.わだち

f:id:maynightwords:20180125192531j:plain

轍あらば何も見えずもそこはかと人の気配す土の粒にも

(彩月)

連作(首)

先人がつくりしみちを歩むごと意識せずとも追う轍かな

轍なきましろな道を進みたし土を固めて草踏みしめて

轍追うごとく歩みし幾年月これより先は自ら拓け

(彩月)

 

突然の嵐だった。

青々とした草原の海はうねり、
風に悲鳴をあげ、季節が過ぎ行く。

僕は大きくあおられ、
倒れ、
湿り気を帯びた無数の枯葉と共に

わだちの下に埋もれる。

 

ぬかるみはどこまでも侵食し、

此処までだったのかと自問自答を繰り返す。
しかし、こんな嵐の中を

それでも尚往来する車輪の軋む音を聴きながら、
独りではないことに安堵し目を閉じた。

 

やがて肉が腐り、

骨となり、大地に還る頃、
嵐は過ぎ去り、
また新たな季節がやって来る。
花は僕の名もなき墓標に咲き乱れ、蝶は舞い、鳥は喜び歌い、空には大きな虹がかかる。

(よる子)

 

 

わだちを漢字で書けない人は書けない人はぽちっと。(よる子の危機)

人気ブログランキングへ