五月のよる

よる子と彩月の気まぐれで出来たことばと写真の出逢いたち。世界のほんとうのことを探すふたりの旅路。

74.光を探す人

f:id:maynightwords:20180405215252j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

生身の身体があるからこそ自由。

思考し、時何かを作り上げ、あなたの手を握る。
されど、身体がある故に不自由。


差し当たっては
のしかかる重力
日々潰れていく骨

頭に巡らぬ血液

酸欠の魚のようにぱくぱくともがく私。

 

いつまで続くのか。
しかし、続く限り命はあるということ。

 

失ったものがあるから
当たり前のことに焦がれ、尊く偲ぶこと。

少しだけ取り戻した経験があるから、
希望を持てるということ。

それでも駄目ならなら駄目で、それが私に与えれたしあわせで
数えきれないほどの宝物がたくさん隠れていること。

 

こんな夜が続くと忘れてしまいそうになる。
自覚するのは、重力、臓物、骨、痛み、あるはずの空気。

 

どんなものでも与えられたものは十二分に使いたい。
だからどうか、
今日も誰かを羨むことがないように、強い心が持てますように。
不満を嘆かず、光を探す人になれますように。
強く、強く、祈る。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記

73.散花讃歌

f:id:maynightwords:20180404224402j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

散花をうらめしく見るのはやめた。

讃歌にて見送る。

さようなら、また来年。

瞬間の美しさを、1日を見せてくれた花たちに

これから巡る季節に讃歌を贈ろう。

来年こそ、また会おう。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記

72.沈黙

f:id:maynightwords:20180403173751j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

何処とも解らぬ深みにて
貴方は再び沈黙す。
それとも私が耳を塞いだか。
彼は誰時。

 

正しきことを見る目を
聞くまじきことを聞かぬ強さを与え給え。
惑わされず踊らされず
痛みを鋼の盾とし
我が沈黙を矛とせよ。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記

71.彼女たちの冒険譚

f:id:maynightwords:20180402205629j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

小さな二人の世界で初めての

いってらっしゃい、いってきます。

行かせたくないよ、行きたくないよ。

ただいま、お待たせ。

おかえり、抱っこして。

おかえり、抱きしめさせて。

ただいま、離れたくない。

 

こんな毎日がずっと続く。

在り来たりな 何処にでもある

それでいてなんて愛おしい光景。

その世界には愛しか存在しない。

 

それは彼女たちの冒険譚。

初めて拾うものは己が涙か、互いの涙か。

いつかはそれこそも輝く宝石となる。

 

だから、桜よ。

まだ、暖かな色で彼女たちを柔らかく包んでよ。

儚く散っていかないで。

泣き虫の彼女たちの 大きい方は

きっと泣いてばかりだから。

泣き虫の彼女たちの 小さい方は

わからないことだらけで 大きな彼女を探すから。

二人のために咲いていて。

いってらっしゃいの薄明かりの中、

傍らにいてほしい。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記

70.おはよう

f:id:maynightwords:20180330234118j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

あなたが私に最初にかけた一言は
特別な言葉なんかではなかった。
ただ、「おはよう」と。
ただし、愛を込めて。
朝靄の中、山脈の岩は
あなたのおはように呼応するかのように光り輝く。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記

69.銀曜日

f:id:maynightwords:20180330234006j:image

(彩月)

 

連作(首)

 

(彩月)

透き通った硝子の水槽の底の底。
見上げる青天井には無数の銀の星。

 

懐かしいあなたと二人、話をした。
銀曜日までの過ごし方。

 

銀星のあかりを頼りに眼を凝らし
不器用に作業を進める私と
見守るあなたの優しい瞳。
幼子のような煌めきと、清貧さを伴うゆかしさと
浮かぶ銀星を映しこむその瞳。

 

全てはあなたから私に託された
銀曜日までの大仕事。

何が何やら解らぬが、
いつかは解るかもしれぬから。

今年から続ける大仕事。
仰せの通り、銀曜日までに仕上げましょう。

 

銀曜日は毎年満月なのに、銀だなんて不思議ですねと
静寂より深い蒼落で、
あなたはやさしく微笑んだ。

 

あの子と話した銀曜日
やっぱり何のことやら解らない。
されども今日こそが銀曜日
わかることは、誰かに託された想いで何かを作らなければいけないということ。

 

銀曜日の終わり、
透き通った硝子の底の底から見上げた宵闇は、
相も変わらず青く蒼く、
そこに銀曜日のまんまるお月様は確かにのぞいていた。
不自由な私の手を包み込むように、
柔らかな月影は密かなるものを照らす。

 

これは、1年に一度、
不思議な銀曜日の不思議なおはなしです。

(よる子)

 
人気ブログランキング

ブロトピ:作品

ブロトピ:今日の写真日記